義理と人情が売りの友人と男山ダイレクトを開拓したのは2010年のこと
ルート開拓の次のターゲットは男山からもよく見える御座山の北西稜だった
あの時の記憶は少ししか残っていないが
とにかく岩が脆くガイドルートには適さないという結論で手を付けることはなかった
あれから10年以上が経つがネットの記録を見るとたまに篤志家に登られているようである
今回、本来は鋸岳を予定していたが天候不順で代案を考えていると過去の記憶が甦った
多少でも登られているなら浮石も少しは落ち着いているだろうとの期待もあった
北西稜の末端に近いところから藪の薄い尾根をたどり
1602mピークに着くと小さな祠が祭られていた
御座山の山頂が良く見える場所に佐久平を背に佇んでいた
痩せ尾根が続き岩稜をなしている部分もあった
山頂に近づくにつれてシャクナゲの藪が濃くなり行く手を阻む
ようやくP1へと突き上げる岩稜のたもとにたどり着く
難易度は然程ではないがとにかく岩が脆いので慎重な登りが必要だ
全ての岩を叩いて剝がれないか確かめながら登る
登るにつれて傾斜は落ちてほっと一息
すぐに山頂かと思いきや岩稜はまだまだ続く
藪を絡みながら何度も騙されながら登る
記憶では山頂直下に短い岩稜があってそれを登ればすぐに山頂だったはずだが…
左手は傾斜の強い岩壁をなしている
いい加減、空腹に耐えられなくなってきた…
あれがホントの山頂のハズ…
ようやく素晴らしい眺望の御座山へ上り詰めることができた
下界は40℃に迫る猛暑とのことだったが
さすがに信州の高原には涼やかな風が吹いていた
下山は登山道をたどるだけ…
と思いきや、刈り払いされていない道は草に覆われ不明瞭
先の台風19号の影響か沢筋は大きく崩れているところが多かった
林道に出てからも地形図にある林道は失われルートファインディングを余儀なくされた
最後まで思いのほか充実した登山となった
ともかく10年前の記憶は当てにならないと思い知った
人の記憶は年月とともに薄れ
山の地形もまた変わりゆくものである