谷川岳東尾根は紛れもなく日本を代表する「 クラシックルート 」のひとつである。
『実用 登山用語データブック』によれば、
クラシックルートとは「ある山の顕著な稜や谷、岩壁に、主に開拓初期に初登攀されたルート。
現在では困難度は高くないが、比較的多くのクライマーを迎える定番的な登攀ルートである場合が多い」とある。
この度、3月11日と13日の2度にわたって東尾根をガイドした
東尾根をガイドするには通常にまして気を配らなければならないことが多い
積雪量、雪質、天候、ラインどり…etc
融雪具合によって群馬県登山条例によって早くから入山禁止となることも多い(通常3月半ば以降)
未明に一ノ倉沢出合に着き谷を詰める
いつ来ても緊張感のある場所だ…
3月11日にはすっきりとした一ノ沢の雪面も…
2日後には多くのデブリに覆われていた…
東尾根の難しさの一つに雪崩への最大限の配慮がある
一ノ沢本谷自体もそうだが左方ルンゼなどの枝沢からのものが恐ろしい
シンセンのコルから雪稜が始まる
トレースがなければ思いのほか時間がかかるだろう
上部の岩場を右に抜けるラインはバランスのとりずらいスラブを渡らなければならない
ちなみにシンセンのコル ~ 第二岩峰 ~ 第一岩峰 ~ 山頂と数えるようだ
尾根上は巨大な雪庇が発達している
第二岩峰の先に思わぬ難所が現れた…
グライドクラックが拓いてオーバーハングの壁になっている
取り合えず突いてみるが背伸びしてギリギリ届くくらい
道を切り開きながら進もうとするも足元は崩れていき
頭が抑えられるので極めてバランシー
進めない…
獲物を持ち替えて再トライ
狭い!!
困難な姿勢で作業スペースを確保!
大分進んできた…
中の方の雪は硬く簡単には掘れない…
少しでもバランスを崩すと落ちる!
足元も崩れる!!
ようやく突破の兆しが!!
「 ヒャッホー !!」
一時、「敗退」の二文字も頭をかすめたが何とか攻略!!(敗退も危険と困難を極めるが…)
結局、ここを抜けるのに1時間以上を要した…
あとは急な雪壁を詰めていく
恐ろし気な大雪庇のトラバース
今年は積雪が豊富で安定しているように見えた
見た目よりも登りにくい第一岩峰
雪を払いながら登る
これを突破す
あとは山頂まで雪壁を登ってフィナーレ
通常は雪庇を切り崩して標識のところにダイレクトに出るが…
雪庇が大きすぎて左へトラバースして稜線へ
日曜日の山頂は恐ろしいことになっていた…
一度目の東尾根はトレースもほとんど消えていて積雪も悪く時間を要した(オーバーハング越えもあったし)
二度目はトレースバッチリで驚くほど容易に山頂に出ることができた
時間も4時間ほど差があった
当然のことながら山のルートはコンディションによって大きく難易度が変わる
積雪や天候の見極め、ラインどり、体力、技術
谷川岳東尾根は多くのものが求められる名クラシックルートとと言っていいだろう