林道の除雪終了地点に車を停めて、そこからすぐに深いラッセルが始まった

越後湯沢では1m以上の48時間降雪であったそうだ
NEWSでは数年に一度の最強寒波としきりに言ってるが雪国の冬なんてこれが通常営業である
近年はともかく少なくとも以前はそうだった
雪の少ない山域への転戦も考えられたが、それでは真の山登りの力はつかない
人のトレースをあてにした雪山登山ほど味気ないものもない

底なし沼のような新雪が林道を覆っている
ワカンを履いてどんなに踏み固めても腰まで没する
逆に言えば胸が出るくらいに立ち込めるほど踏み固めなければ進むことはできないということ

ひたすら空身ラッセルを繰り返す

一向に行程ははかどらず、すぐそばに見えている高速道路の土樽PAはいつまでも遠ざからない

進むスピードは毎時300m
平坦な林道を4時間かけて1.2kmしか進むことができなかった

武能岳西尾根の取り付きまで600m地点で当初の計画を断念
取り付きに付くまで夕方になりそうだし、その後の標高差は1000m以上ある

目的地を標高が350mほど低く手前にある足拍子岳へと変更
林道にテントを張り残った時間で明日のためのトレースをつけに上がった

翌日は4;30に出発して山頂を目指す
普段歩かれることのない急な尾根を詰めていく

だいたい1時間に100m標高を上げるペース
途中に急な岩場も現れ、巻いたりしながら大きな尾根に出る

この日はとても天気が良く周りの山々を見渡すことができた

目指す足拍子岳は鋭い頂でずいぶん遠くに見える

平標山と仙ノ倉山の方はずいぶん風が強そうだ

稜線に出ても深く重いラッセルが続いた
時間的に登頂の見込みもなく帰りの余裕も見て1142m地点で敗退を決めた
登りの労力に反して下りは驚くほど速い
5時間かけて登ったところを1時間で下ってしまった…

下る途中で見えた武能岳は大きく優雅な西尾根を麓へと伸ばしている
雪煙が流れる姿が美しく気品に満ちていた…



