天空を突き刺す鋭い岩稜。
八ツ峰を横目に長大な雪渓をアプローチし稜線の岩峰を登攀する。
ヨーロッパアルプスにも通じる環境でのまさにアルパインクライミング。
チンネ左稜線は日本を代表するクラシックルートである。
剱沢小屋を午前2時に立ち剱沢を下る。
長次郎谷出合から稜線まで登り返すこと3時間。
雪渓は少雪と大雨の影響で雪渓はズタボロ。晩秋のころの状態だ。
真っ暗な中、深々と空いたシェルンドを恐々、慎重にわたる。
池の谷乗越から悪い池の谷ガリーを下って三ノ窓へ。
ようやくチンネ左稜線とのご対面だ。ここまでアプローチ4~5時間。
雪渓の雪は少ないが稜線の雪は豊富。
三ノ窓にはテントがポツンと一張。
ホールドは豊富で容易だが脆い場所もある。なにより高度感がすごい。
左奥にはクレオパトラニードルと呼ばれる尖峰がある。
眼下には三ノ窓雪渓。
左稜線の核心部は通称「鼻」と呼ばれるハング越えだ。
ここはこれまでよりフットホールドが細かく傾斜もある。
間近で見るとそれほど大きなハングではない。
ハングを越えればあとはグイグイ高度を稼いで行ける。
終了点からは池ノ谷ガリーへ懸垂して長次郎雪渓を下る。
無事に真砂沢ロッジへ到着。丁度、12時間のトリップだった。
真砂沢ロッジは最盛期で天気がいいのに小屋は我々だけ。テントも一張り。
小屋のコロナ対策は万全で一人2畳の個室。贅沢な仕様。
下山はハシゴ谷乗越経由で黒部ダムへ。
タテヤマウツボグサ群生。
ハシゴ谷付近から振り返る。
マイナーピーク東面スラブが大きい。
ダムへの道は刈り払いが途中で足元が見えない場所も多かった。
数日中には完了しそうなのでこれから通るには問題ないだろう。
大雨で流された橋も復旧済み。
今日の下界は猛暑日。
時折吹く沢風と美しい花に癒されながら歩く。
ダム堰堤下からの登り返しがキツかったことは言うまでもない。