ひょうたん池へたどり着いた瞬間の景色はまさに心動かされるものだった。
にわかに頭の上のガスが晴れてまばゆい光が目に飛び込んできた。
高度を上げて雲海を抜けると同時に日の出の瞬間が訪れたのだ。
雲海は梓川の奥深くまで入り込み、その上端は私たちの目線と同じ高さにあった。
見上げると明神岳の稜線が朱く染まり輝いていた。
息を飲む光景とはまさにこれだ。
その日の雲海は一年でも有数のものだったに違いない。
東稜へと取り付くがすっきりとした岩場はなかなか現れない。
ハイマツの藪こぎが思いのほか長く続く
ラクダのコルへ着くとようやくヤブから解放され正面に明神岳のバットレスが現れた。
バットレス核心のスラブへと取り付く。
以前に来たときはアイゼンに手袋で登った。
夏は快適に登ることができる。
フォローも順調に登ってきた。
以降は本峰まで快適な登りとなる。
貸し切りの明神岳本峰。
上高地からよく見える頂だが簡単にたどり着けない特別な場所。
ここから主稜縦走が始まる。
Ⅱ峰の登りでは易しいクライミングを交える。
浮石が非常に多いので気を抜くことができない。
Ⅴ峰より縦走路を振り返る。
右から主峰、Ⅱ峰、Ⅲ峰、Ⅳ峰。
Ⅴ峰にはシンボルの古いピッケルがある
ここからは長い長い南西尾根の下り。
上高地に着くと出発から時計の太い針がちょうど一周していた。