裏岩手縦走

東北の山はどれも大きくおおらかで包み込むような温かさを持っている。

とりわけ岩手山から八幡平へと続く稜線は「裏岩手」と呼ばれ、緩やかな起伏をもった稜線が伸びやかに続いている。

まずは馬返しから岩手山へ。標高差・約1400mの登り。

登るにつれて展望が広がる。

広々とした南部平野が美しい。

タカネバラが多く咲いていた。

と思ったらエゾツツジだった。

トキソウはこの一株だけ見つけることができた。

多くの花々に励まされながら重い荷を担ぎ上げる。

初日は山頂部がガスに覆われ強風が吹いていたので、翌日に取っておくこととし8合目避難小屋で泊。

二日目は長丁場。

日の出とともに小屋を発つ。

三十三体の観音像が並ぶ山頂への道。

信仰の頂は今日も強い風が吹いていた。

自身は5度目の登頂だが、ここでのんびり過ごせた記憶がない(強風のため)。

鬼ヶ城へと登る道は沢山のシラネアオイが迎えてくれた。

奇岩の向こうに静かに水をたたえる田代池。

岩を露わにした黒倉岳。そして遠く裏岩手縦走路がたおやかに連なる。

荒々しさと優しさが混在する火山ならではの景観が広がる。

シラビソの森を抜けると東北らしい爽やかな風が吹き抜ける。

樹林の中はぬかるみが多く歩きづらい。

ぬかるみはこの森の住人の存在を知らせてくれる。

 

大きさも様々。

爪も鋭いぞ。

同じ方向に向かってる!?

三ツ石山荘は湿原に佇む。

ここではあくせくした登山は似合わない。

時が止まったかのような穏やかな場所。

沢山のヒナザクラが咲いていた。

三ツ石山から来たし方を振り返る。

ここからは道も大分良くなる。

天空の散歩道。

12時間の歩行で貸し切りの大深山荘へ。

小屋に着いたら水くみに。

なんか国際的?

松川温泉までは3分じゃ着かないけどね。

湿原の中の湧水。

 

翌日はあいにくの天気だが雲が高く遠くまで見通すことができた。

雨は止み間もおおく気にならない程度。

たどり着いた八幡平からはるばる歩いてきた道のりを振り返る。

3日間、登山道の傍らに沢山の花が絶えることがなかった。

火山が創り出した独創的な地形、どこまでも広がる原生林が悠久の時の流れを物語っていた…。