以前、ある山を歩いているときに目に入った岩稜があった。
山頂へと突き上げるリッジは頂上直下で岩壁に突き当たり青空に美しいスカイラインを描いていた
いつか行ってみようと思ってから数年がたって、仲間から誘いの声がかかった。
遠望した岩稜を地形図上に目星をつけてアプローチする。
落ち葉は深く、樹々には紅葉の葉がのこって見通しはあまり効かない。
離れた尾根上から見る岩稜は傾斜の強い部分があり脆そうで「果たして登れるのか?」未知数であった。
岩稜末端からヤブを漕ぎつつ岩を登ると傾斜のある場所へと突き当たった。
巻いていくこともできそうだったが、ハングのある正面から取り付くこととした。
ハング部分は岩がかなり脆く、だましだましのクライミング。細い灌木をたよりにずり上がる(冷や汗)。
フォローが登った際は大きな岩もろとも落ちて轟音を響かせていた。
その先に続くピッチもワイルドで探りながらのクライミング。
出だしで掴んでいた灌木が折れてフォールしてみたり…。
登るにつれ快適なリッジとなり視界も開けてきた。
途中にもピリッとした岩場が現れる。
岩には先人の残したかなり古い残置ハーケンがあった。皆考えることは同じ。
ようやく頂上近くの岩壁へとたどり着いた。
予想以上のスケールで迫力がある。
正面の岩壁は斜度もあって脆そうな部分もある。
弱点を求めてラインを探る。
アドベンチャークライミングの楽しさは尽きない。
そのうち人気ルートになる予感。