バガブー山群で最も高いハウザータワーは北峰、中央峰、南峰の3つから構成される
南峰に突き上げる「 Becky-Chounaird (ベッキーシュイナード)ルート」は北米でも最も称賛されるクラシックルートの一つである
3日連続で登り続けていたのでそろそろレストを挟みたいところだが、予報では3日後あたりから崩れるらしい
今回の遠征の中で一番の目標であった「B-C(ベッキーシュイナード・こう呼ばれることもあるらしい)」は外せない、
悪天後は再び好天予報がでているが下山予定日ギリギリで、先の予報が変わってしまうことはよくあること
これまで得てきた経験ではチャンスがあればトライするのが鉄則だ
疲れた身体を持ち上げて歩き出す
S-Bのコルを越えて氷河上をハウザータワーに向けてアプローチする
下降予定のサウスハウザータワー東面は一見するとそれほどのスケールはない
だがP-H(ピジョン-ハウザー)のコルに着いて南面をのぞき込むと…
イーストクリークに向けて巨大な南面が姿を現した!
長時間行動に備えて前進キャンプを設け、明日に備えて取り付きへの偵察に向かう
陽が登る前にスタートするので暗い中で迷わないように…
ガレ場から雪渓を降りる
思っていたより遠いな…
尾根の末端から見上げるルートは迫力満点
取り付きまでも少し複雑で、やっぱり下見しておいて良かった
コルまで登り返してテントに戻る
しばらくすると霰が降ってきてやがて雪になった…
嵐はすぐに去るだろうと2時間ほど耐えると再び日差しが戻る
2時30時に起きて暗い中、4時にテントを出る
昨日の下見のおかげでスムーズに取り付きに
5時30分くらいに取り付きに到着
クライムオン!
長い一日の始まり(写真は実質の3ピッチ目だが)
陽が当たらず寒い…
4P目・5.10⁻、ワイドクラックからのハング越え~ハンド~オフフィンガー
最終的にはここが核心部に感じた
6~7Pは「300 foot corner」と呼ばれるひたすら美しいコーナーが続く
左足のフットジャムが続くので足が痛くなる…
登る、ひたすらに登る
12P目、ワイドクラックも出てくる
各ピッチのロープスケールも大体、60ⅿが多い
ビレイ点もほぼカムで構築する
埋め込みボルトは一切ない
陽が高くなってもコーナーの陰で結局ほとんど日が当たらない…
クラックの奥には氷があって冷気が流れている
ワイドムーブを交えながらどこまでも続くコーナーを登る
ちょっとハング越え
ようやく空が近づいてきた!
リードの小俣くんが右往左往している
トポにあるA0(スリングをつかむ)でトラバースする箇所だろう
なんでも「ハーケンに垂れ下がったぼろいスリングに頼らなければならない」らしい
フリーで抜けると5.10cとされている
ほどなくカンテの左に姿が消えて「解除」のコールが聞こえた、どうやらフリーで越えたらしい
ビレイ点からはノースハウザータワーが美しい
フォローで上がるとトラバース部分は短いがホールドが細かい
荷物があり厳しかったが、落ちそうになりながらも気合で突破!
登ること15ピッチでようやく稜線にたどり着いた!(15:30)
ここから一度、懸垂下降した後に山頂へ向かう
歩きとスタカット数ピッチを交えてようやく南峰に立った!
時刻は17時
日本では日没まで間がないが、ここでは10時近くまで明るいので問題なし
少し迷いながらも11回の懸垂下降を終え氷河に降り立った(19時30分)
明るいうちに(20時)にテントに戻って長い一日を終えた
行動時間は16時間
本当に素晴らしいルートを満喫することができた!!
極端に難しいピッチはないがアプローチ、下降を含めた総合力が試されるルートだった
翌日、ゆっくり起きてアップルビーのキャンプ場に昼前に戻った
メキシコ在住経験のあるテッシー特製のタコスは旨かった!!!