北鎌尾根 2020.夏

日本を代表するクラシックルートである北鎌尾根。

数々のドラマがここで繰り広げられてきた。

上高地からの道は朝のうちは涼しく快調だったが、槍沢ロッジを過ぎると焼け付く太陽に捕らえられた。

特に水俣乗越への登りは南向きで最も暑い時間帯に登ることとなる。

眩暈のするような暑さの中、少し歩いては日影を求めて立ち止まり、倒れないようにして歩いた。

驚くことに北鎌沢出合は水がなかった!

このところ雨が降っていないこと、何より天上沢上部の雪渓が少ないからだ。

これまで何度も訪れているがこんなことは初めてだ。

何とか水流のある場所を見つけて幕営地とした。

翌朝、3時に出発し北鎌沢を駆け上がる。

稜線に出ると同時に太陽を浴びるようになり暑い。

独標はすぐそこのようでなかなかに遠い。

北鎌尾根のギザギザを一つ一つクリアして越えていかなければならない。

今年は入山者が少ないためか踏み跡が不明瞭になっている。

地震の影響はほとんどないように感じられた。

次第に近づく大槍。

ここからは小槍も存在感がある。

殺生ヒュッテが見えるようになるとゴールは近い。

最後のチムニーを越えれば…

山頂の祠の裏に出る!

フィナーレが槍ヶ岳の山頂という素晴らしいルート。

この日は夕焼けが特にきれいだった。

ここから望む西側の山々は美しい。

サーモンピンクに包まれる山々。

そして夜明けを迎える…(寝てますよ)。

冬の星座が出始めたようだ。

人気のない飛騨沢を下って、締めの雪山を堪能した。

北鎌尾根は長く厳しい。

重荷を背負って悪路を行く、これぞ日本の山の真骨頂。