東風解凍(はるかぜこおりをとく)。
朝はピリッと引き締まった冷気が支配していたが、太陽が昇ると風は温んで春を感じさせるものだった。
船山十字路から望む阿弥陀岳はずいぶんと遠くに佇んでいた。
実際、水平距離もなかなかのものだ。
アプローチの沢は解け始めていて何時もなら容易に渡れる個所も気を遣わされる。
途中の滝の氷は薄く、壊さないように慎重に登らなければならない。
半分は水が流れていた。
3ルンぜへ入ると北面のため氷結具合は良好だった。
天気は素晴らしくダケカンバに付いた霧氷が輝いている。
傾斜の緩い氷瀑と雪壁を駆け上がる。
冬の時期ならではの合理的なライン。
素晴らしい展望を背負って。
最後の氷瀑を越えて…。
長い登りを経て南稜へと登り上げる。
快晴。大展望。理想的な登路。
言うことなし!!