消防、警察、自衛隊、遭対協、山岳遭難救助に携わるプロが一同に会して研鑽を積む。
国立登山研修所主催の「山岳遭難救助研修会」が行われた。
恥ずかしながら私は講師の一人として参加させて頂いた。
台風19号が襲来した翌日からの開催ということで緊急招集された方も多く、
交通機関も乱れ集合することすら難しい状況だった。
それでも全国各地から多くの参加者を迎え開催することができた。
任務を終えて途中参加された方も何名かいた。
アンカー構築や懸垂下降など基礎的な技術の確認から行う。
流石に懸垂下降はみな完璧にこなすことができる。
一方、ビレイやクライミングシステムについては日頃行うことがないようで器具の扱いも不慣れだったが、さすがに飲み込みが早い。
私とペアを組んで同じ班の講師を務めた富山県山岳救助隊の松井小隊長(右端)。
山岳遭難救助のスペシャリスト。
普段は市街地で活動することの多いメンバー。
その技術を山岳地帯で応用するための講習会である。
私は山岳のプロとしての視点でアドバイスする立場。
要救(救助が必要な人間)を安全かつ迅速に救助しなければならない。
雑穀谷の岩場での研修。
自然物を使ってのアンカー構築。
「みんなの石八。完成!!」
崖下の要救を引き上げる。
チームレスキューを行う。
即席チームながら素晴らしい一体感。
岩場からは道なき尾根を読図しながら進む。
ふだん山歩きをしない皆はコンパスを使うのも慣れてはいない。
こういう場所は自衛隊が非常に心強い。
当班は大日岳まで足を運んだ。
称名滝が奥に見えている。
不調の仲間を抜群のチームワークでサポートして進む。
慣れない登山にも誰も弱音を吐くことはない。
「『つらい、苦しい、もうやめたい』では人の命は救えない!!」 by 消防
秋色の剱岳。
その雄姿に歓声が挙がる。
一方、一人だけ剱の見過ぎで無感動な男が一人。
下山時は雲海が広がって幻想的な景色を見ることができた。
もちろん紅葉も素晴らしい。
雲海の中へ下っていく。
登山の素晴らしさも伝えることができたのではないだろうか?
最終日は沢沿いの登山道で負傷した要急を捜索、そして搬送する想定訓練。
複雑な地形、悪い足場、沢の音で声も通り辛く、藪で視界も遮られる。
それが山の中での救助。
要救は自力歩行不可、頚椎損傷の疑いあり。
「愚痴をこぼすな! 悲鳴を挙げるな!」 by レンジャー部隊
総力を挙げて尾根へ引き上げる。
登山道を車の入れる林道まで運ぶ。
見事な一体感でレスキュー成功!!
普段、ヘリコプターで降下して救助することが多い中、不慣れな山岳地帯での救助に苦労していた。
その中で、熱意と根性で物ともせずに素晴らしい救助を見せてもらった。
活動地域や所属、階級を越えた素晴らしい仲間との研修となった!!