残雪期チンネ左稜線 

剱沢の山小屋がまだ開かない6月。

遠いチンネは更に遠くなる。

別山乗越を後に剱沢を下る。

この時期、豊富な雪渓を踏んで歩くことができる。

長次郎谷出合。

降雪が少なかったとは言え流石にしっかりと繋がっている。

一歩一歩雪渓を詰める。

重荷が肩に食い込む。

 

 

熊の岩にテントをデポし池の谷乗越からガリーを下る。

ガリーは霧に閉ざされ奈落へ落ちていくようだった。

雪渓も残り、岩の出ている部分は不安定極まりなかった。

三の窓を経てようやくチンネへと取り付く。

雪渓と岩との間にできたシュルンド(隙間)をうまく渡れれるかが鍵。

幸いうまく繋がっている部分があって岩に移ることができた。

取り付けばこちらのもの。

三の窓雪渓を眼下にどんどん高度を稼ぐ。

左にクレオパトラニードル。

右にチンネ左稜線の核心部「鼻」が立ち塞がる。

快適にこれを越える。

 

その後のリッジは爽快そのもの。

この日は寒気が通過したため雪が降るかと思った。(実際は雨がパラついた)

寒さに身体がこわばる。

下山は熊の岩までなのであっという間。

天気は回復し夜は満点の星空。

朝はモルゲンロードが美しかった。

ここは雲上の別天地。

別山乗越への登り返しは、長い!暑い!キツい!

でも周囲の景色は最高!!

静かな山。

池の氷が溶けるころには人が沢山訪れるのだろうか?