宝剣岳の西面はアプローチが短い割に静かな登攀が楽しめるエリアである。
入山者が少ないため情報も少なくオリジナリティのあるクライミングを行うことができるだろう。
今回は私の所属する山岳会・G登攀クラブの冬合宿・通称「 GWM 」で極楽尾根を目指した。
極楽尾根は宝剣岳西面では最も長い岩稜である。
初日は千畳敷よりサギタル東稜を登り宝剣岳を越えて乗越浄土へ幕営する。
スカイライン右のリッジがサギタル東稜。
以前はどマイナーなルートだったが最近はかなり登られるようになった。
私が紹介したからか?
右に目を向けると蟻んこのように木曽駒を目指す登山者の列が…。
経験不足やおかしな装備の人も目立つ。
まずは取付きまでアプローチ。
トレースがあるのでラクチン。
青空に霧氷が美しい。
核心はアイゼン登攀に慣れていないと難しく感じる…と行っても極めて短いが。
サギタルの頭に出たら宝剣岳を越える。
こちらの縦走のほうが危険度は高い。
天狗山荘の脇の斜面を土木工事して幕営。
テントの数は昨年に比べると大分少なかった。
夜は強風がテントを揺らした。
ヘッドライトを照らしながら宝剣沢を下る。
登山体系に載っている概念図はかなりアバウトで初見で取り付くことは難しいだろう。
容易な下部を越えて第一ピナクルを登る。
足元は深く切れ落ちてそれになりに高度感がある。
岩の摂理が発達していて快適なクライミングを楽しむ。
背後に御嶽山が大きい。
この尾根は滑川を詰めて取り付くのが理想的なラインだろう。
核心部の三角岩峰は想像以上に威圧的な壁だった。
ここは陽もあたらず寒風が吹き上げてくる。西面ならではの厳しさがある。
美しいディエードル(凹角)。
予想していたよりもフットホールドに乏しく中央のか細い氷を頼りに登る。
カム・トライカムをほとんど全て費やし60m一杯ロープを伸ばす。
三角岩峰を越えて…・。
このルートは時間との闘いもある。
ロープウェイの最終は16:00。テントも回収に行かなければならない。
極楽平に抜けて素晴らしい登攀は終了した。
素晴らしいロケーションと岩、気の合う仲間とのクライミングはやっぱり最高!!