悪天時の催行判断について
山に向かう際に最も気になる天気予報。
週間予報に傘のマークがあるとちょっと落ち込んだ気分になってしまうのは誰しも経験のあることでしょう。
そんな時はお客様から催行の可否のお問合わせを頂くことが大変多くなります。
当ガイドは前日 17:00 の予報をもって催行判断を致します。
(18:00までにご連絡さしあげます。中止の場合のみ連絡致します)
判断は早い方がいいように思われるかもしれませんが、予報はあくまで予報であってコロコロ変わります。
「ホントによく変わります!」
テレビの気象予報士のコメントを聞いみると分かるように、彼らですら確信をもって予報を伝えられている日は少ないのです。
梅雨時などは前線の上下によって天気は大きく変わりますし、南岸低気圧も通過する緯度によって大雪になるかどうかも違ってきます。
昼に見た予報が夕方に変わっていることはよくあることです。
結局、できる限り直前の予報でないと判断しかねないのです。
実際、「早めに中止の判断をしたが当日は青空が広がっていた…」なんて経験を何度したことか分かりません(T_T)
もちろん気圧配置によっては予報が外れにくい場合があります(特に冬季)。
そんな時は数日前に中止の判断をすることもあります。(可能な限り早めにお伝えする努力はしています)
予報をチェックする際の注意点
予報に傘マークがついていてもそれが、どれほどの雨なのか何時どれくらい降るのかにも留意しなければなりません。
深夜から明け方にかけて雨が降り、日中止んでも傘マークはつきます。
夏の良く晴れた暑い日の夕立も同様です。
予報をチェックする際は雨の降る時間帯、降水量、風速、風向、気温など考慮する必要があるのです。
加えて予定している山の標高や山域ごとの天気の特徴、季節も関わってきます。
周りの人を見ていると傘マークがつくとイコール、一日中ザーザー降りの雨に打たれる姿を想像しているように思います。
わずかな通り雨であっても1mm以上の降水があれば雨の予報になるので傘マークがついてしまいます。
予報の細かな内容を見るようにしましょう。
催行判断の基準について
目的のアクティビティによっても催行判断は変わります。
・トレッキングであれば大雨でなければ催行します。雨の山もまた美しいものです。
・クライミングなら小雨でも中止、前日までの雨で壁が濡れていても中止です。
・アルパインクライミングの場合はアプローチが雨でも登攀する日が雨天でなければ催行します。
・雪山は降雪があっても催行、降雪がなくても風が強すぎる場合は中止。
当ガイドは様々な条件を考慮して催行の可否を判断しています。
予報も一つではなく専門的な気象予報を複数確認しています。
判断の基準は「安全に山行を行える見込みがあるかどうか」です。
それでも最終的な判断は「勘」に頼ることもあります。
それは20年以上、年間100日以上山に入り続けてきた経験の蓄積によるものです。
もちろん「勘」が外れることもあります。
大事なのは予報に振り回されず自然を受け入れることなのかもしれません。そう思っています。
「晴れた日は晴れを愛し、雨の日は雨を愛す」 吉川英治