赤岳南峰リッジ 右稜

空は澄んで、風は穏やか、冬将軍もしばしの休暇をとっているらしい

すれ違う人も稀で静寂に雪を踏む高い音が響く

よく育った霜がここ数日の冷え込みを知らせてくれる

新雪の衣をまとった山は神々しく、空はどこまでも青い

目指すルートは右のスカイライン

 

 

文三郎尾根を上がり中岳の分岐を過ぎるとまばゆい太陽が現れた

雪山のコンディションは常に変化する

その時にあった適切なラインどりが必要だ

ホールドに張り付いたエビのしっぽを払い、静かな動作で身体を持ち上げる

浮石の多いルートではことさら慎重に…

人がほとんどいない今日だから許されるルートどりかもしれない

夏には凡庸な岩稜も冬季はそれなりに楽しめるルートへと変貌する

難所を越えて…

見上げれば山頂はすぐ間近

 

雪のリッジをたどると山頂へとダイレクトに飛び出した

そこにはいつも通り最高の景色が広がっていた…

人や時代が変わっても山はいつもそこにある