膨大な雪渓が秋遅くまで残る一ノ倉沢本谷。

大滝は姿を現さないまま次の冬を迎える。

寡雪の年の秋に数年に一度の機会が訪れる。

最も近年の温暖化で積雪量は減って登れる年が多くなってきたようだが、それもまた寂しい。

一ノ倉沢出合から普段行く巻き道を使わずに沢の中を進む。

今日は岩登りではなく沢登りだ。

朝一で水に浸かる元気なおじさん。

幸い今日は気温が高い。

途中の滝はラインを間違えて肝を冷やすクライムダウンもあった。

やはり一ノ倉沢は侮れない。

衝立前沢を分けて本谷へ入る。

高巻きを交えながら進む。

V字状の沢を進む。

想像していたよりも大分水量は少ない。

一たび大雨が降れば瞬く間に増水するのだろう。

谷は広がり広大なスラブ帯となる。

豪雪による雪崩に磨かれた美しい岩肌。

この辺りは傾斜も緩く快適な登りが続く。

本谷の核心部。幻の大滝が近づく。

水線を直登した記録もあるが、とてもそれができるようには見えなかった。

おそらく水量がかなり少ない時だったのだろう。

写真では分からないが、今日は水圧に叩き落されるだろ。

じゃんけんに勝った和田が左壁に取り付く。

昨夜の雨の影響か岩は濡れていた。

大きなムーブを要求されるが概ね快適に越えることができた。

大滝を抜けた。

 

大滝上の大スラブ帯は傾斜も緩く易しいが滑落は許されないので気を抜くことはできない。

明るい本谷から陰鬱な4ルンぜへ。

岩質も変わり黒光りしたコケがいかにも滑りそう。

ルンゼは狭くチムニー状の滝が多くシャワーを浴びながらの登攀となる。

ここも大分シャワーを浴びている。

ホールドを持つ手がかじかむ。

滑ってやらしい滝が次々と現れる。

トポにはF5まで記載されているがカウントされていない滝も多く良くわからなかった。

 

ルンぜを抜けて草付き帯へ。

ここからが長い。

草付きから笹ヤブをこれでもかと漕いでいく。

詰めの厳しさは沢登りの常。

 

途中から一ノ倉尾根の踏み跡に合流し少し楽になって稜線へ。

どうやら早めに右へ行って尾根に乗るのが正解のようだ。

一ノ倉岳へ出たのでオキノ耳とトマノ耳を越えてようやく下降となる。

ロープウェイは運休中なので西黒尾根を下る。

山腹の紅葉は見頃を迎えていた。

今年の紅葉は2週間ほど遅いように思った。

 

5時に駐車場をでて16時30分に下山。

楽しいラウンドトリップだった。