B-C コルから見上げる Bugaboo Spire Northeast Ridge は息をのむほどに美しく鋭く研ぎ澄まされ天を突いていた
グレードこそ5.8+と容易だがアプローチを含めれば18ピッチほどになり下降も長いのでトータルでの実力が問われるルートといえる
コルに至るまでも数ピッチの易しい岩登りを交えるが、他のパーティーよりも少々出遅れた我々はすでに順番待ちで時間をロスしていた
前日も人気ルートであったのに誰もいなかったことから今日も空いているだろうと高をくくったのがいけなかったようだ
ルート取り付きまでのスクランブル区間は正規ルートを外れコンテで脇から他パーティーを抜いていく作戦をとった
息を弾ませながら駆け上がり、かろうじて取り付きにつくとタッチの差で2パーティーの前に出ることができた
だがしかし、ルートには更に先行パーティーが取り付いていた
リードしているクライマーは先ほどから少しも進んでいない
見るからに実力不足で荷物も多い…
しびれを切らした私は「ちょっと脇から抜くけどゴメン」といった内容のことを拙い英語で何となく伝えて登り始めた
作戦は成功し上手い事、先行パーティーの前にでることができた
おそらく彼らの後について登ったら明るいうちに帰るのは不可能だっただろう
ルート中の核心ではあるが、とにかく早く登ることを意識していたので登りを楽しむ余裕はなかった
ついでに2ピッチ分、一気にロープを伸ばした
続くピッチはグレードとしては5.7と易しいが最高のロケーションと岩だった
間違いなく今まで登った5.7の中で最も素晴らしいものだと感じた!
素晴らしい環境で楽しいクライミングが続く!!
ジャミングが心地よく決まり適度に緊張感のある楽しいルートを心ゆくまで堪能する
背後に広大な景色が広がる
チムニーが150m続いたのにはいささか閉口したが…
北峰に立ってから懸垂を交えながら南峰へと縦走する
高度感満点のナイフリッジやクライムダウンを繰り返す
北面には氷が張っている場所もあった
ルートファインディングを楽しみながら南峰の頂上に立つ
5時にキャンプ場を出て時刻は既に14時を回っている
懸垂下降と岩稜歩行を繰り返し南稜を下降していく
夜10時まで明るいのでまだまだ登ってくるパーティーもいる
南稜のケインルートも人気がある
S-Bのコルから最後の懸垂をしてキャンプ場にもどると19時を回っていた
雪渓に埋めて冷やしておいた缶ビールで長く素晴らしい一日に祝杯を挙げた