ベストシーズンには少々早いが待ちきれずに錫杖岳へ向かった。
寒い日が続き今年の氷の発達具合はおおむね良好なので期待を込めて。

不安は先日、降った雨。ある程度標高の高いところまで雪にならなかったようだ。
そしてその後に降った新雪が不安定な雪の上に載っている。

松本ICを下りて中の湯の付近を通ると吹雪。
道の駅で仮眠して槍見温泉へ向かう。

週末なので賑わっているかと思いきや車は一台きり。それもクライマーのものではないらしい。

歩き始めるとトレースはナシ。


いつもの倍ほどの時間をかけてラッセルして進む。
新雪は結合が弱く急斜面に足を踏み入れると点発生の雪崩となって落ちていく。

朝日が昇って新雪をまとった錫杖岳前衛壁が輝眩いばかりに輝いている。

ど真ん中を貫く白く太いラインは昨年登った1ルンゼ。氷結状態は良いようだ。
目指す2ルンゼは写真右下の雪田から上部へ登る細いライン。あまり登られないマイナーなルートだ。

深い雪に取りつきまでで時間切れ敗退かと思われたが岩屋から先は底が締まっていてやや歩きやすくなり、1時間で取り付きへ。

出だしから深い雪に苦しむ。
アイスセクションはわずかで後は土木工事。時間をかけてトップ・飯田がロープを伸ばす。
結局1.5ピッチ進む。

実質の3ピッチ目を見上げる。
氷の部分は30Mほど。

登ってみるとベルクラ(岩に張り付いた薄い氷)が多く、スクリュー・アックスの極められるポイントは限定的。

岩の部分にもプロテクションを取りながらじわじわ高度を稼ぐ。

核心部はベルクラトラバース。
足元のいつ崩れるかしれない雪にそっと体重を移していく。

ようやくスクリューが極まったときはほっとした。
またもや1.5ピッチ分ロープを伸ばす。

深く切れ込んだルンゼには絶えずスノーシャワーが降ってくる。もちろんリードが落としているものもある。

続くチムニー状のピッチでは出だしは20㎝ほどの氷柱にアイゼンを利かせなければならずひやひやする。
少し上がると背中も使えて安定するがアックスは振れず、フォローはザックがひっかかり苦労させられた。


2ルンゼはアイス・ミックス→雪壁の繰り返しが多い。
ロープの先にフォローする私。

核心の6ピッチ目はスラブに5㎜程度のベルクラ。抜け口の氷は触ればたちどころに落ちそうな細いツララ。
見た瞬間、「ないな」と思って時間切れもありここから下降することに。

初めてなので通常のコンディションは分かりませんが、いずれにせよ悪くて厳しいピッチなのだろう。
ボルトもあるとのことだったが、見つけられなかった。

最終ピッチにて後輩の飯田くんと。
雪のコンディションは危ぶまれましたが、天気もよく充実した登攀になった。

下降は抜けたハーケンを打ちなおしたりしながら4ピッチで取付きまで。
車に着くころには日は沈んでしまっていた。